『クリティカル・パス』 バックミンスター・フラー著

『家を建てるならドームハウス』バックミンスター・フラー

2013年5月26日

はい、どっと・いぶにんぐ(=^o^=)やまねこ庵でございます。
バックミンスター・フラーの晩年の大著『クリティカル・パス』にとりかかっています。
「貪欲な法律家資本主義」から「バックミンスター・フラーの自己規律」の章へと進みました。 前章ではアメリカという国家が産業資本主義の確立と国家成立が同時並行していたため国家の民営化が進んだことによる欺瞞性、社会主義と軍事国家化の併存などが克明に分析されています。
この章はまるで現在の日本そのものの分析であるかのようです。 アベノミクスって国家の民営化と軍事化ですよね。
さて、「バックミンスター・フラーの自己規律」では、フラー自身の生い立ちから始まります。 フラー博士は、すべての研究の基盤を『クロノファイル』という編年体の膨大な日記に 置いています。すべての発見、着想、デザイン、発明の資料はこのクロノファイルに収め られています。
「わたしが15歳のときに父が死んだ」からはじまり、彼がいかにして「美と直観の体系」 を構築していったかが、時間契機に従いながら記述されてゆく手法は、まるで海の航海の ようでスリリングですらあります。
結婚、海軍への入隊、航海技術、海軍での発明、エネルギー問題から宇宙船地球号という コンセプトにいたるプロセス、デザイン・サイエンスの着想シナジェティックスへの数学的直観 などなど発想は洪水のように広がりつつもすべてを体系的にとらえつつ、同時にプラクティカル (実際的)な視野まで降下させてゆくフラーの思考方法が、彼が原理主義・抽象数学の人ではなく 徹底した発明家であり人類全体に貢献したいという超人的意欲の持ち主であったことを明かして くれます。
おそらく天才と言われる人はフラーのように全体を見通す鳥瞰的視野と細部まで精緻に 構築する構成力と本質的問題を洞察する鋭利な直観の持ち主なのでしょう。
『わたしは自分だけでやるという原則と直観力のみを基本にして仕事をするように努めた。』 そして、フラーは自身をモルモットBと呼び、自らを実験台にするという生き方を選び取ります。 彼はその生涯を通して人類の生存を持続可能なものとするための方法を探りつづけました。
フラーの『クリティカル・パス』を読んでいるとその果てしない発想の洪水と恐るべき探究心に 圧倒されてしまいます。 一年くらいかけてじっくりと読み解いてゆきたい「人生の航海術」の書であると同時に 「新たな時代への羅針盤」かなと思います。
副題は「宇宙船地球号のデザイン・サイエンス革命」 You-tubeはバックミンスター・フラーのドームハウスの歌。ドームハウス建設現場に立ち会う フラー博士の貴重なフィルムです。


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