2009年7月23日
はい、どっと・こむばんは(=^o^=)やまねこでおます。
シュタイナー医学連続講座を前に、ヤッヘンス博士の講座の内容など思案をめぐらせている内にわたし自身がシュタイナー医学を書物を通してしか知らないということに気づきました。確かにシュタイナーや関連の著作はわたしのような医学の門外漢にとっても興味深い指摘が数々あるのですが、これはもっぱら、自然科学や精神科学についての提言部分であって、アントロポゾフィー医療が実際にどのようになされているかは、直接に触れたことがないというのが正直なところです。
そんなわけで、この医療を実際に受けたことがある人に聞いてみるのが一番確かかなと思い、遠隔地の友人Qさんに連絡を取って聞いてみました。
なんとQさんは、延々一時間に渡ってその治療のあり方やアントロポゾフィー医学の考え方を語ってくれました。彼は、ドイツ在住時に継続的にシュタイナー医学による治療に触れる機会があったということです。主に眼科の治療が多かったらしいのですが、彼のお話を通してアントロポゾフィー医療の輪郭が見えてきた面もありますので、わたしが理解できた範囲においてまとめてみましょう。
Qさんによれば、シュタイナー医学の病院はドイツ各地にあり、外的には他の病院と変らないそうです。
診療の設備や検査などの面でも一般病院と同様であり、血液検査などの検査を経て、カルテに基づく処方が施されます。国内には救急病院に指定されている総合病院もあるそうです。処方も保険指定を受けているとのこと。
アントロポゾフィー医学は一部の何か特別な医学と言うイメージを持つ人がいるかもしれませんが、これは誤解だそうです。現代医学を修めた医師が、より包括的な立場からアントロポゾフィー医学の研修を経て治療法に取り組んでいる、ということでシュタイナーの言う「拡大医学」の立場なのだそうです。
つまり、現代医学・一般医学が扱う医学分野を研究・実践すると同時により広く包括的な治療実践をするために現代医学では届かない範囲も射程に入れているとのこと。それは、端的には「病気に対する捉え方と解釈の違い」に特質が見られるということらしい。
シュタイナー医学では、一般の病理学にもとづく検査や診断を出発点としますが、患者が何故その病気になったのか?という問いを持って患者さんに対峙して、医師との人間的なつながりの中で処方や治療に臨みます。現代医学の傾向として「健康とみなされる正常値を示す」ことが重視され様々な処方で正常な血圧などの回復を目指します。いわば健康の平均値を目指しているわけです。しかし、健康とは諸々の検査値の平均化・無問題化ということだけではないと思われます。
シュタイナー医学ではよく『人の数だけ、健康がある』と言われます。それぞれの患者さんが良好な状態は、数値化された部分だけではなく、その性格や精神生活や霊的な世界も背景としています。
アントロポゾフィー医学は、まず何よりも「人間へのまなざし」をもって患者に望み、科学と医学から病理を探り、その人に相応しい治療法を見出す努力をするということです。ですから、投薬などの通常の処方と共にさまざまな芸術療法も積極的に取り入れ、患者の人間全体の回復を目指しているということなのです。
そんなアントロポソ゜フィー医学の治療を受けたQさんによれば一回の診療は、30~40分かけるそうです。すべてがシステマティックで、スピーディに進んでゆく日本の医療現場とは少し違ったスローな治療風景かもしれませんね。そして、何よりこの医学は多くの治療効果もあげているとのことです。
やまねこは、熱っぽく語るQさんの体験談に耳を傾けながら、やはりこの夏の講演会は大きなメルクマールになるかな、と期待に胸を膨らませました。プライベートな治療体験を明かしてくれたQさんに感謝です。
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