『ドームハウスに住む』とはどういうことか?

『風のとおり道』久石譲

2012年5月18日

はい、どっと・もーにんぐ(=^o^=)やまねこでおます。
夢の里はよく風の吹く初夏の 一日でした。
ドーム・ハウス愛媛の新規プロジェクトの打ち合わせをH社長としていました。 工業デザイン・プロダクトとしてのフラードーム・ハウスというコンセプトを 再検討して、コンセプト・デザインに取り組んでいるのです。
わたしたちは、この環境危機の時代を迎えて「住む」ということの根本的な意味 を問い直すべき時代なのかもしれません。
「稼いだお金を、一生のうちでなにに一番費やしているかを考えた場合、”住”に対して恐ろしいぐらいの金額を支払っているのに気づく。賃貸でも一般的に月給の4分の1程度、住宅ローンを組んだ日には、不良銀行も真っ青のバランスシートだ。しかしながら、実は住宅というモノにたいして、かなり少ない情報から意思決定をしているのではないだろうか。「2LDK,○○平米,駅から何分、コンビニ近し」あとはせいぜい間取り図。チラシの5センチ四方に収まるような情報に基づいて、生涯で何千万円も費やしている。
趣味の出費としてオーディオやCDを買っても、自宅に設置しなければ意味が無い。電気料金、ガス料金、水道料金、ネット接続料…月々の支払いの多くも住居というインフラに関連して課金されている。現代社会の消費行動として、何らかのかたちでエネルギーを物質に変換した”モノ”にたいして対価を支払っているわけで、住宅も、柱や壁や家具の形に固定化されたエネルギーと、その中で日々の生活として電気やガスといった直接的なエネルギーを消費しているともいえる。」 (オープン・ソースの住宅建設とバックミンスター・フラー) フラーは、1920年代に早くも「住宅とは人間の生活と環境をつなぐ機能的装置」であることを 提唱し、アルミニウム製のダイマクション・ハウスを提案しました。 このプロトタイプとしての住宅は、工業生産によるユニットとテンセングリティ理論が応用され ていました。
そしてダイマクション・ハウスから発展的に生まれたのが現在のフラードーム・ハウスなのです。
そして、フラー博士によれば 「フラーのデザインする住宅は居住者の個性を表現する。居住者は最も経済的で豊かな環境で養育され、熟考された新しい考え方を発展させることができる。演奏者と楽器が音楽を作り出すように、居住者とダイマクシオン・ハウスは相互に影響しあって新たな環境を作り出すだろう。ピアノが音楽を表現するように、ダイマクシオン・ハウスはそこに住む人々の要求とアイデアを表現するのだ。この住宅は居住者と共に、変化と進化を遂げることができる。住宅とは行動の場である。したがって、これから描く画用紙のように、住宅は恒久的な装飾や恣意的な様式からは開放されるべきである。」 というのです。
住まいと人間がちょうど楽器と演奏者の関係のようにクリエイティブな契機となるようにデザインされる べきということなのでしょう。
ここにデザイン・サイエンスという独特な思考が息づいています。 わたしたちの多くが「工業的プロダクト」というと無機的・機能的・数学的・没個性をイメージ しますが、フラーはそこに有機的・機能性・美的・創造性を見ていたのです。
わたしたちは、楽器を奏でるように自分の内的欲求を表現するツールとしてドームハウスを活用 することができるということです。 工業的プロダクト・デザインとしてのフラードーム・ハウスは居住者の「感性の器」でもあるの です。

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