スモール・イズ・ビューティフル2

(2010年2月 ライフ・デザイン研究所 フレーム工事)

2013年6月11日

はい、どっと・ちゅーにんぐ(=^o^=)やまねこ庵でございます。
かつて、経済学者シュマッハーにより提唱された「small is beautifulの哲学」 というものがあります。拡大志向、大量生産・消費よりも小さく、コンパクトな 暮らし方の方が環境にも人間にも好ましいという考え方です。 シュマッハーの時代から40年を経て、多くの若者がスモールに暮らすことを定着 させる時代になってきました。
ツイッターの創始者ジャック・ドルセイさんは
「大量消費は世界の環境や社会問題を引き起こす。最低335ヶ月連続で、地球の平均温度は20世紀平均を超えたのだ。議会のレポートが説明する通り、温暖化、海の酸化、北極海や氷河の溶解は主に人間の活動が原因となっている。資源抽出から製造から廃棄物処理までの全ての消費活動が、地球を滅亡へと導く主要因になり得る事を多くの専門家が指摘している。そしてFoxconnや北京のスモッグの例から分かるように、私たちが日々買うモノは、海外の安い労働と甘い環境規制を搾取して作られているのだ。
私たちはこのように延々とモノの消費を続けていった所で、最終的に目に見えるような幸せを勝ち取る事ができるのだろうか? 最近の調査で、ノースウエスタン大学の心理学者Galen V. Bodenhausenは、消費活動と異常行動や反社会的行動を関連づけた。Bodenhausen教授は、「消費マインドを活性化させる状況においては、個々人の性格に関係なく、人々はネガティブ思考や社会的離脱などの似たような問題的行動をとる。」という事を発見した。1950年以降アメリカ人の消費活動は劇的に増加したが、幸福度は全く上がっていないのだ。」
消費マインドを高めるよりも幸福度を高める・・・という視点からミニマリストの選択が 生まれるということなのでしょう。現代はノマド・ライフを志向する若者たちの出現で 「モノとのつきあいかた」が変化しつつあります。
「断・捨・離ブーム」「シンプル族」などライフ・デザインの変化はよりミニマムに向かい ナチュラルにコーディネイトされる傾向があります。
バックミンスター・フラー博士はこのことを「Do more withless」と表現しました。 より少ないものでより多くを為すエフェメラリゼーションの哲学を提唱しました。
フラー博士の共同研究者梶川泰司さんは、
「行動によって、人間はより包括的に学ぶことができます。「Think global, Act local.」は権力構造が作り出した分割思考であり、分割して支配するための分業システムの表れです。 「Think global, Act local.」は、ローマクラブのミレニアムの命令形の標語として世界中に広まりました。グローバリズムは、「Think global, Act local.」と表裏一体で成長した概念なのです。それは、専門分化による経済支配の最終段階を意味しています。歴史的に、グローバルとはglobe(=地球)の分割支配を計画した東インド会社の戦略用語です。グローバリズムは決して太陽系を含む宇宙的視野を含みません。デザインサイエンスは、グローバリゼイションよりもテクノロジーによるエフェメラリゼーション(陽炎化=短命化)を重要視しています。軽薄短小は一種のエフェメラリゼーションの変形した概念で、テクノロジーによる包括性の結果です。」 と語ります。
現代のグローバリズムとフラーの提唱する「宇宙船地球号」を対比して見せたのです。
わたしたちは、太陽から降り注ぐ光エネルギーや風力や地熱など再生可能エネルギーだけ で十分豊かに生きることができます。
『宇宙船地球号』の中でフラー博士は 『地球はひとつの宇宙船である。この地球には資源も エネルギーも十分すぎるほど存在する。ただ、使い方が悪いのだ。より少ないものでより多くの ことを成す技術を用いれば、欠乏などということはまやかしに過ぎないことがわかるだろう。』 と語ります。 戦争と欠乏と経済構造が地球からエネルギーをむしり取っていることに警告を 発したのです。
貪欲な法律家資本主義・・・とフラーはグローバリズムを呼びました。 エネルギー・システムの再循環や相互扶助に基づく経済システム、自然と共存するライフ・モード 社会資本の共有と効率化、国際的なシェアリングというクリティカル・パスを通ればわたしたちは 戦争という愚かしい選択は避けられるという考え方です。
「彼は、当時の世界のハードウェア、テクノロジー、工業技術などの効率性はたったの4%で、これでは人類全体の44%の物質的需要を満たすのが精一杯だけれど、12%に引き上げられれば、100%の人類の需要を賄えられることを独自の調査で知ります。そして、これらの効率を上げることを考えるようになります。 しかし、ただ効率を上げればいいというわけではありません。当時すでに環境に対する問題意識を持っていました。最小限の資源とエネルギーで、最大の効果を得る“More With Less”という考えを彼はモットーにしていました。
そこで、建築のハード面では、石やコンクリートや鉄などによる重厚で硬い建築ではなく、まるで存在感がないように薄くて軽いけれど、構造的には強い建築を可能にする“技”、即ちシステムを追及していきました。無駄がなく、一番効率がいい形状のものが存在しているのは、自然界です。デザイン、形状、そして、そのシステムを可能にしている原理を自然界から発見し、ローカルな環境に応用していったわけです。そして1940年代後半の、フラー・ドーム開発に至ったのです。 確かに、地球上の微生物などが、フラー・ドーム型の形状をしていることは明らかで、エイズのウィルスや、風邪のウィルスも、フラー・ドーム型の乗り物に乗って空中をさまよっていますし、10年ほど前にノーベル化学賞に輝いた、炭素が60個集まって球体を成す新しい炭素の分子C-60も同様の球体システムです。」 (鈴木エドワード バックミンスター・フラーのワールド・ゲーム)
二十世紀の終わりに発見された新元素である炭素C60は、ジオデシック・ドームハウスの形を した元素です。現代のナノ・テクノロジーのカーボン・ナノ・チューブはC60の連結体です。 C60がバッキー・ボール、フラーレンと呼ばれるのは、発見を遡ること50年前にフラー博士が 宇宙の安定モデルとしてジオデシック構造を直観していたことに寄ります。

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