2008年1月20日
古事記によれば、大山積の神は天照大神の兄神で富士浅間神社のご斎神コノハナサクヤ姫の父神で日本の国土を守る総鎮守とされています。
天孫ニニギノミコトがコノハナサクヤ姫に一目惚れして結婚を申し出たのもここ大三島が舞台となっているわけですから神代の昔からの伝承の残るスピリチュアル・スポットといえるでしょう。
大山積神社にはもうひとつ瀬戸内の歴史・文化の拠点となる源氏に仕えた河野氏の本拠・鎮守でもあります。瀬戸内海を支配していた河野氏ゆかりということもあって 海運と漁業の守り神とされます。
そして、神社奥の宝物館内には源氏、河野氏にまつわる至宝を中心に国宝武具の8割が納められています。
その中でひときは目を引くのが写真の「鶴姫の鎧」です。
今で言えば、レディース・スタイルの鎧です。歴史上唯一の女性の鎧とのこと。
確かにジャンヌ・ダルクを髣髴とさせますね。
鶴姫伝説は、大三島が女性の心を捉えるのに充分な魅力を持っている神話的史実のような気がします。
鶴姫辞世の句
わが恋は 三島の浦の うつせ貝 むなしくなりて 名をぞわづらふ
「鶴姫伝説」
大山祇神社の宝物館に入ると、圧倒される思いがします。 国宝、重要文化財に指定されている日本の武具のうち、およそ8割がここに収蔵されているのですが、それらがすぐ手に届きそうなところにずらりと並んでいて、刀剣類には生々しく刃こぼれを見せているものも多くあります。 かつて、武将たちが武運長久を願って奉納した武具なので、使用した後のものも多いのでしょう。
そんな中に、中世瀬戸内海のジャンヌダルク・鶴姫が着用したといわれる鎧があります。
胸の部分がふっくらとして、ウエストが引き締まり、女性用らしい優美な姿ですが、紺糸に白紐の取り合わせが清楚で、島を守って戦った十代の少女の伝説にいかにもふさわしいものです。
彼女が戦った相手は、京都進出を志す中国地方の覇者・大内氏の家臣でした。 島を守るため鶴姫は奮戦しましたが、激戦の中、兄が戦死、次の戦いでは恋人が死にました。
敵が去った後、鶴姫は安堵と悲しみのうちに18歳の若さで海に身を投げたといいます。
(マルト汽船HPより)