バックミンスター・フラーとドーム・ハウス

フラー・ドーム・ハウスは1895~1983年に生きた数学者であり、思想家、発明家、建築家でもあるバックミンスター・フラー博士によって1947年に発明されました。その特徴は、従来の建物の概念を根底から覆す、四角く、梁や柱のあるこれまでの建築物の考え方とは一線を画すもので、2種類の形の異なる三角形を用い、それを相互に球体状になるように組み合わせることで、最小の部材から最大の空間容積を生む事が出来る構造物のことです。

フラーは独自の「豊かさの概念」を持っており、「より小さく成す事でより大きな結果を招く」という、反作用についての概念を掲げています。それは梃子の原理のようなもので、これを人間社会に当てはめ、各自がよりシンプルな部材からダイナミックな作用を得ることを学べば、相補的に富の分配が可能であるということを提唱しています。Doing more with lessは、フラー博士の思想を解くキーワードなのです。

そのような哲学が体現されたフラー・ドーム・ハウスは1967年のモントリオール万博アメリカ館に採用されるなど、海外では20万棟以上の施工例があり、型にとらわれない軽やかで開放的な空間は用途を限定しないため、様々なことを行える住宅として、また開放的なスペースを生かした店舗として、オープンスペースや、シェアハウスとしても利用価値が期待されています。(写真は、モントリオール博覧会アメリカ館)

※特許としてのジオデシック・ドーム
サイエンス・デザイナー、バックミンスター・フラー氏が、1947年に特許を取得したジオデシック・ドームは、テントから巨大パビリオンまであ らゆるシェルターに応用できる、最小の部品で最大の空間を得る構造を構成しています。
【発明者or創作者】バックミンスター・フラー
【 発明の名称 】建築構造体
【出願or登録国名】アメリカ
【出願or登録番号】登録番号2682235
【出願or登録言語】英語
【 内容の解説 】本願は、B・フラーのジオデシック・ドームに関する
特許出願です。本願では、球面を二十面の三方向グリッドと称する
正三角形球面に分割し(ただし、半球ならば十五面となる)、
各正三角形球面を複数の小正三角形ユニットで構成することにより、
ドームを製造する技術が開示されています。これにより、各構成部材に 均等に負荷が掛かった、巨大ドーム構造を実現することができます。

伝統建築の知恵を生かした独自のフレーム工法


ドーム・ハウスのフレーム工法はこれまでアメリカのドーム・ハウス・メーカーからの輸入に頼ってきました。
アメリカン・ハウスのスタイルとしてのパネル・キットが主流で、湿潤な気候の日本では金属ジョイントを用いるフレーム工法に様々な問題点が指摘されてきました。
当社では、このテーマに長年取り組んできた施工会社(有)上弘の研讃により、木造伝統技術が応用された独自のフレーム工法を開発。
金属ジョインドを用いることなく、伝統的な規矩術や組み木の知恵を活かしたフレーム工法となっております。
いわば日本的なドーム・ハウスのプロダクト・デザインに成功しローコストかつハイ・クォリティな品質のドーム・ハウス作りにとり組んでいます。
また、フレーム素材は間伐材を、床材には愛媛県産の杉材を活用することによって、森や山々の環境保全を促進し、森林の適切な管理にも力を入れ、地産地消による地域の活性化にも貢献しています。
ジオデシック構造と呼ばれる構造体は、耐震強度、強風や積雪に対する高度な安定性を保持します。この構造体は富士山レーダー・ドームやアメリカ南極基地にも利用されており、厳しい気象条件でも安心して過ごせるセフティ・ハウスとしての側面を持ちます。
幾何学的な構造の美しさ、最小部材で最大空間を確保する球体構造や熱循環の効率のよさもフラー・ドーム・ハウスの魅力のひとつです。

ドーム・ハウスの建設プロセス ジオデシック・ドーム構造

ドーム・ハウスは二種類の三角パネル・フレームで構成されます。基礎工事完了後、土台敷きを設置したら建て方作業。
フラー・ドーム・ハウスのフレーム建て方は、一日で完了します。あらかじめ製作されたフレームを立ち上げてゆく工程は少人数で速やかに天球面まで立ち上がってゆきます。構造が完成すればパネルを張り屋根仕舞い作業へと進みます。
ジオデシック・ドーム構造ならではの独自の工法は合理的でスピーディですが、当社ならではの精度の高いフレーム技術には伝統的木造建築の匠の技法が生かされています。

フレーム・コンストラクションは一日で完了します。


木造建築の精緻な伝統技術を駆使した独自のドーム・フレーム工法は従来のジョイント工法の問題点をクリアしています。

ドーム・ハウスのパネル工法は、二種類の三角パネルによる球体構造を基本としています。角度構成は0.5度レベルの精度を要求します。


ドーム・ハウスは、エクステンションをはりだすことで自由な増設・空間構成が可能です。


施工例  2011.7.31完成 シェア・ハウス「どんぐり館」